英文会計実務の基礎知識
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2. 国内取引と国外(海外)取引
国際展開・海外進出の際に必ず混在する国内取引と国外(海外)取引。帳簿上、これらは簡単に分類できるように、勘定科目や補助科目などで区別して記録されます。
「外貨建て取引と為替差損益」のページで説明したように円建て取引と外貨建て取引が混在するのも理由のひとつですし、国内取引と国外(海外)取引では、消費税(海外現地法人の帳簿の場合はVAT, Value Added Tax, 付加価値税と称している国が多いです)の扱いが変わってくることも大きな理由です。
ここでは、国内売上や国内仕入、国外(海外)売上や国外(海外)仕入の際の、消費税を考慮に入れた記帳方法を、よくみられる実務例の一部で紹介します。
2-1. 国内売上‐販売時の仕訳 | 国内収益と国外(海外)収益
日本国内の在庫 3,500,000円を日本国内の会社に、5,000,000円(消費税別)で売り上げた。代金回収は翌月。
販売時の仕訳 |
Dr.(借方)科目 |
Dr.(借方)金額 |
Cr.(貸方)科目 |
Cr.(貸方)金額 |
日本語 |
売掛金 |
5,400,000 |
売上(国内) |
5,000,000 |
|
|
仮受消費税 |
400,000 |
英語 |
Accounts receivable-trade |
5,40,000 |
Sales-local |
5,000,000 |
|
|
Consumption tax payable |
400,000 |
Cost of goods sold |
3,500,000 |
Inventories |
3,500,000 |
2014年4月現在の消費税率で計算しています。
仮受消費税という勘定科目は日本独特のものなので該当する英語はありません。ここでは Consumption tax payabe という勘定科目を使っています。
日本語の仕訳は日本企業でよく使われている「仕入」勘定、英語の仕訳は海外でよく使われている”Inventory”勘定を、商品仕入時に使っている前提での仕訳例です。
2-2. 国外(海外)売上‐販売時の仕訳 | 国内収益と国外(海外)収益
日本国内の在庫 3,500,000円を海外(国外)の会社に、5,000,000円で売り上げた。代金回収は翌月。
販売時の仕訳 |
Dr.(借方)科目 |
Dr.(借方)金額 |
Cr.(貸方)科目 |
Cr.(貸方)金額 |
日本語 |
売掛金 |
5,000,000 |
売上(国外) |
5,000,000 |
英語 |
Accounts receivable-trade |
5,000,000 |
Sales-overseas |
5,000,000 |
Cost of goods sold |
3,500,000 |
Inventories |
3,500,000 |
海外(国外)へ売上げる場合、消費税は計上しません。
海外(国外)へ売上げる場合も、国内へ売上げる場合も、円建て取引と外貨建て取引、どちらもありますが、ここでは円建て取引を取り上げています。
日本語の仕訳は日本企業でよく使われている「仕入」勘定、英語の仕訳は海外でよく使われている”Inventory”勘定を、商品仕入時に使っている前提での仕訳例です。
2-3. 国内仕入‐仕入時の仕訳 | 国内費用と国外(海外)費用
日本国内の会社から商品 3,000,000円(消費税別)を仕入れ、国内の倉庫に保管した。代金支払いは翌月。
仕入時の仕訳 |
Dr.(借方)科目 |
Dr.(借方)金額 |
Cr.(貸方)科目 |
Cr.(貸方)金額 |
日本語 |
仕入(国内) |
3,000,000 |
買掛金 |
3,240,000 |
仮払消費税 |
240,000 |
|
|
英語 |
Inventories |
3,000,000 |
Accounts payable-trade |
3,240,000 |
Consumption tax deductible |
240,000 |
|
|
2014年4月現在の消費税率で計算しています。
仮払消費税という勘定科目は日本独特のものなので該当する英語はありません。ここでは Consumption tax deductible という勘定科目を使っています。この他 Prepaid consumption tax という勘定科目もよく見かけます。
日本語の仕訳は日本企業でよく使われている「仕入」勘定、英語の仕訳は海外でよく使われている”Inventory”勘定を、商品仕入時に使っている前提での仕訳例です
1-4. 国外(海外)仕入‐仕入時の仕訳 | 国内費用と国外(海外)費用
日本国外(海外)の会社から商品 3,000,000円を仕入れ、国内の倉庫に保管した。代金支払いは翌月。
支払時の仕訳 |
Dr.(借方)科目 |
Dr.(借方)金額 |
Cr.(貸方)科目 |
Cr.(貸方)金額 |
日本語 |
仕入(国外) |
3,000,000 |
買掛金 |
3,000,000 |
輸入消費税 |
240,000 |
買掛金 |
240,000 |
英語 |
Inventories |
3,000,000 |
Accounts payable-trade |
3,000,000 |
Consumption tax deductible |
240,000 |
Accounts payable-trade |
240,000 |
2014年4月現在の消費税率で計算しています。実際には、税務調整後の納税額が運送会社等から請求されるので計算上の消費税額と納税額には差異があります。
仕入先からのInvoice到着と消費税申告納付額を含む運送会社からのInvoice到着には時間的なズレがあるので、通常は仕入(輸入)時の仕訳と消費税関連仕訳を同時にすることはできません。
仕入れた商品本体に対する支払先と、輸入消費税の支払先は、通常違うので、買掛金も支払先ごとに管理します。
日本語の仕訳は日本企業でよく使われている「仕入」勘定、英語の仕訳は海外でよく使われている”Inventory”勘定を、商品仕入時に使っている前提での仕訳例です
外貨建て取引と国内取引・国外(海外)取引
ここでは、海外売上・海外仕入、国内売上・国内仕入の仕訳を、消費税の観点から見てみました。説明がシンプルになるように全て円建て取引の例を取り上げましたが、実際には、取引通貨と国内・国外取引が複雑に絡み合います。また、費用としては仕入のみを取り上げていますが、経費(販売費一般管理費や製造経費)も外貨建て取引と国外・国内取引の区別が混在してきます。
日本国内の企業同士での外貨建て取引、日本国内の会社同士の取引であっても海外子会社から商品が出荷され、商品検収も得意先の海外子会社での円建て取引、日本の在庫を出荷しても売上計上は現地法人で外貨建て取引等々… ほかにもいろいろなパターンの取引が発生します。
こうした複雑な取引を、正確に、管理しやすいように、税分類コード、収益や費用のセンター(部門)コード、勘定科目コード、グループ分類コード、地域コードなど、さまざまな視点から細かく分類しながら、帳簿は記録されます。
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